※こちらの記事と写真は許可を得て作成、使用しています。
<名称>
フォッサマグナミュージアム(Fossa Magna Museum)
<住所>
新潟県糸魚川市大字一宮1313 美山公園内
<営業時間>
9:00~16:30(受付終了)、17:00閉館
<休館日>
12月~翌年2月の月曜・祝日の翌日
年末年始(12/28~1/4)
<入場料>
一般(大人)700円/団体(20名以上)600円
小中高生 300円/団体(20名以上)200円
未就学の者又は団体引率者 無料
<交通>
北陸新幹線、JR大糸線、えちごトキめき鉄道「糸魚川駅」下車
バスまたはタクシーで約10分
北陸自動車道「糸魚川IC」より約10分
日本国内の石好きの人なら知らない人がいない、新潟県糸魚川市。
世界屈指の高品質な翡翠(ジェダイド)が産出する地域です。
山から産する翡翠のかけらは川を下り海に流れ、海岸に「石ころ」として戻ってくる形で漂着します。山の上の産出場所は現在採集禁止区域になっているため、一般の人は海岸の「石ころ」の中から翡翠を採集します。
日本国内で小さなお子さんでも気軽に鉱物採集できるほぼ唯一の場所ではないでしょうか。
糸魚川市も観光の目玉として「翡翠拾いができる街」をプッシュしています。
そんな糸魚川市にある博物館が「フォッサマグナミュージアム」です。
地元で採れる石、翡翠やフォッサマグナをメインのテーマとして展示をしている博物館です。
中は6つの展示室に分かれていて、それぞれ
・第1展示室…市内の海岸で見つかった翡翠のコレクション展示
・第2展示室…糸魚川の翡翠や鉱物、化石の展示
・第3展示室…フォッサマグナや日本列島誕生の映像、フォッサマグナ発見者のナウマン博士に関する展示
・第4展示室…日本列島の形成の紹介
・第5展示室…世界の化石のコレクション展示
・第6展示室…世界の鉱物のコレクション展示
となっています。
さて、博物館の名前にもなっている“フォッサマグナ”とはなんなのでしょうか?
ざっくり説明します。
よく日本の文化的な東西の境目についてテレビなどで話題が持ち上がったりします。
東の醤油ベースつゆや四角いお餅、西の出汁ベースつゆや丸餅などはどの地域から変わるのか、思わず「へー!」と頷いてしまう話題はいつ聞いても興味が尽きません。
実は地質的にも東西に分かれている箇所がありまして、その境目の大きな溝を”フォッサマグナ(ラテン語で「大きな溝」)”と言います。溝といっても目に見えるものではなく、地質を調べて初めてわかるものです。
人間から見れば大変大きな溝で、東の端は新潟の柏崎から千葉、西の端は糸魚川から静岡、その間が本州の巨大な”溝”となっています。
溝といっても想像できませんね、その上にはもちろん人間や動物たちが住んでいて、それどころか北や南アルプス、富士山など日本有数の高山が存在します。
なぜそこが溝となったか。
日本列島が形成される際、中国大陸から日本となる大地がマグマの噴出により切り離されていきます。
そのマグマの圧力は巨大なもので、切り離された大地は大きく裂けてしまいます。
イメージ的には長方形のクッキーに力を加えてバキッと折る感じです。
裂け目の間は海の堆積物により埋まっていき、新たな大地になります。
この新たな大地に当たる部分が”フォッサマグナ”です。
日本の形が少しエビ反りになっているのは大地が折れて裂けた証拠です。
フォッサマグナは関東平野を丸々包み込んでいるので、東京はじめ関東地方に住んでいる人々は皆フォッサマグナの上に暮らしているということになります(一部秩父地域を除く)。
第三展示室ではそのフォッサマグナがどのように出来たかを巨大モニターで見ることができます(写真撮影はOKですが動画撮影は禁止されています)。
大変わかりやすい内容を大迫力の映像美で見られます。
一見の価値ありです!
第1展示室にある市内で採集された美しい翡翠のコレクションももちろん必見なのですが、鉱物マニアの間で評判になっているのが第6展示室の鉱物コレクション。国内随一の高品質な標本と聞いていたのですが噂通りの美しい結晶の鉱物たちがかなりの密度で陳列されていました。
モース硬度や結晶系、分類などの解説などもあり鉱物の勉強をすることもできます。
第5展示室にも同様に素晴らしい化石の標本が展示されています。
何より特徴的なのは、海岸で採集した石ころを学芸員さんが無料で鑑定してくれるところ!
翡翠は類似した石が多いのでぜひ鑑定してほしいところですが、それには条件があります。
・鑑定日は土日のみ(土日でもやっていない日がある)。
・博物館で配布される鑑定予約券を事前に手に入れる必要がある(その券の枚数にも制限あり)。
・1人5個まで。
・大きすぎる、汚れている、濡れている石は鑑定してもらえない。
・一日一回、一回あたり1グループ4名程度まで。
正直気軽に鑑定を受けるのは難しいかもしれません。
鑑定をしてもらいたい場合はちゃんと予定を組んで計画的に動く必要があります。
ちなみにバスも1時間に一本程なので旅行者は石拾い、食事、移動などの時間をよくよく考えないといけません。
その分自身の拾った石をしっかり診てもらえると自信がつきます。
それが翡翠だったら尚更!
自身の鑑定眼を磨くためにも機会ありましたら一度受けてみることをお勧めします。
個人的にもう一つお勧めしたいのは近くに併設されている長者ヶ原考古館。
この二つの博物館がある美山公園の中には縄文時代の遺跡もあり、そこから出土した土器などが展示されています。
特徴的なのはこの遺跡からは翡翠を加工した痕跡が見られること。
これは全国でも糸魚川にある遺跡からしか発見されていません。
石好きの方の中では有名な話ですが、翡翠(ジェダイド)はダイヤモンドを凌ぐ大変硬い鉱物、技術の発達していない時代で勾玉など複雑な形へどのように加工したかは詳しくわかっていないためオーパーツ扱いされることがあります。
この翡翠のアクセサリーは全国の遺跡から発掘されるため、主要な輸出(?)品として糸魚川で製作されていたと思われます。
国内どころか朝鮮半島にも運ばれていたようなので、当時の他国との文化交流や航行技術も謎なところですね。
日本の歴史の根幹に潜むミステリーに想いを馳せながら見学すると夢とロマンで胸がドキドキしてきます。
地質としても歴史としても日本の本質的なものに触れられる2つの博物館、大変オススメです。
<参考>
・フォッサマグナミュージアムHP
・フォッサマグナミュージアムパンフレット
・新潟の文化を紡ぎ繋げる「新潟文化物語」HP
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